コラム|訳あり物件
事故物件は売却できるか。
告知義務と売却の方法
所有している物件の中で、人が亡くなった。そうした事情は、身近な人にもなかなか相談しづらいものです。この記事は、事情を詮索するものでも、誰かを責めるものでもありません。結論から申し上げると、いわゆる事故物件でも、売却は可能です。ただし「告知義務」という、守るべき大切なルールがあります。この記事では、そのルールと売却の方法を、順を追ってやさしくご説明します。
2026年7月21日|縁リアルエステート株式会社
事故物件とは。まず言葉の整理から
「事故物件」という言葉に、法律上のはっきりした定義はありません。一般には、過去にその物件の中で人が亡くなるなどの出来事があり、買う人が心理的な抵抗を感じるおそれのある物件を指して使われています。不動産の世界では、こうした事情を「心理的瑕疵(かし)」と呼びます。
「心理的瑕疵(かし)」とは
「瑕疵」とは、キズや欠点のことです。建物の雨漏りのような目に見えるキズではなく、「そこで過去に何があったか」を知ったとき、買う人が心理的に抵抗を感じる事情のことを、心理的瑕疵といいます。建物そのものに問題がなくても、気持ちの面で気になる——そうした事情を指す言葉です。
大切なのは、心理的瑕疵のある物件であっても、売買そのものが禁じられているわけではない、ということです。実際に売却された例は数多くあります。ただし、その際に守らなければならないのが、次にご説明する「告知義務」です。
告知義務について正しく知る
告知義務とは、買主の判断に大きく影響する事情を、契約の前に正直に伝える義務のことです。人の死に関する事情については、国土交通省が2021年(令和3年)に「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を公表し、考え方の目安を示しています。要点は、次の3つです。
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(1)自然死・日常生活の中での不慮の死は、原則として告げなくてよい。
病気や老衰による死、階段からの転落や入浴中の事故といった日常生活の中での不慮の死は、誰の身にも起こりうるものです。こうした亡くなり方については、原則として買主に告げなくてよい、とされています。 -
(2)それ以外の死は、売買では経過年数にかかわらず告げるのが原則。
事件・事故・自殺など、上記以外の事情で人が亡くなった場合は、買主に告げるのが原則です。賃貸では「おおむね3年」という目安が示されていますが、売買にはこの期間の区切りはありません。何年前の出来事であっても、告げるのが原則と考えてください。 -
(3)自然死でも、発見が遅れて特殊清掃が行われた場合は告げる対象になる。
亡くなり方が自然死であっても、発見までに時間がかかり、特殊清掃(通常の掃除では対応できない、専門業者による清掃)が行われた場合は、告げる対象になるとされています。
なお、このガイドラインはあくまで一般的な目安であり、個々の事情によって判断が分かれる場合があります。ご自身のケースがどれにあたるか迷われたときは、くわしくは弁護士等の専門家にご確認ください。
隠して売るとどうなるか
「黙っていれば分からないのでは」と考えたくなるお気持ちは、理解できます。しかし、告げるべき事情を告げずに売却すると、後からそれが判明したとき、契約不適合責任(契約の内容と違うものを引き渡した場合に売主が負う責任)を問われるおそれがあります。具体的には、損害賠償を求められたり、契約そのものを解除されたりする場合があるのです。
売却が終わってからも「いつか知られるのではないか」という不安を抱え続けるのは、大きな負担です。私たちは「誠実こそ、最強の価値。」を理念とする会社として、こう考えています。正直に告知して売るほうが、結果として、いちばん安全で確実な道です。
告知義務は、いつまで続くのか
最も多くいただく質問のひとつです。結論から申し上げます。売買の場合、期間の区切りはありません。
賃貸については、ガイドラインで「おおむね3年」という目安が示されています。そのため「3年経てば言わなくてよい」と理解されている方がいらっしゃいますが、それは賃貸の話であって、売買には当てはまりません。10年前でも、20年前でも、事件・事故・自殺などによる死は、告げるのが原則と考えてください。
「そんなに前のことなのに」と思われるかもしれません。ただ、これは売主を縛るための決まりではなく、売主を守るための決まりでもあります。告げたうえで売れば、その後で蒸し返されることはありません。黙って売れば、何年経っても不安が残ります。
誰にも知られずに売ることはできるのか
ご相談の中で、金額よりも先に尋ねられることが多いのが、この点です。「近所に知られたくない」「親族にも言っていない」——当然のお気持ちだと思います。
ここは、はっきり分けてご説明します。買主に対しては、告知義務があるため隠せません。これは法律上のルールなので、どの会社に頼んでも同じです。一方で、買主以外に広まらないようにすることは、方法によって大きく変わります。
知られる機会が生まれるのは、主にここ
不動産情報サイトへの掲載(誰でも見られる状態になります)/内見(買主候補が何組も出入りします)/近隣への聞き込み(仲介会社が周辺調査を行うことがあります)/売却期間の長さ(長引くほど、目に触れる機会が増えます)。
買取であれば、情報サイトへの掲載がなく、内見も買い取る会社の担当者だけで済み、期間も短く終わります。つまり「知られにくさ」で選ぶなら、買取のほうが有利です。当社では、お伺いした事情を外部にお話しすることはありません。ご近所やご親族へのご連絡も、当社から行うことはありません。
「事故物件は売れない」と言われる理由
売れないわけではありません。ただ、一般の流通で買い手がつきにくいのは事実です。理由は3つあります。
- 住宅ローンが通りにくいことがある。金融機関によっては、担保としての評価を下げる場合があります。買主が現金で買える方に限られると、候補は一気に減ります。
- 買主が心理的に抵抗を感じる。これは説明で解消できる種類のものではありません。気にしない方もいれば、どうしても無理という方もいます。
- 仲介会社が扱いたがらないことがある。告知や説明の手間が増え、売れるまでの期間も読みにくいため、積極的に取り組まれないことがあります。
これらは「一般の買主を探す場合」の話です。事情を承知のうえで買い取る会社に売る場合には、当てはまりません。
マンションの一室が事故物件になった場合
戸建てと考え方は同じで、告知義務も同様に生じます。マンション特有の点としては、次のようなことがあります。
- 同じ建物の中に管理組合や他の居住者がいるため、売却活動が目に触れやすい。内見のたびに人が出入りすることになります
- 共用部分(廊下・エントランスなど)で起きた出来事の場合、告知の考え方が専有部分と異なることがあります
- 特殊清掃が必要だった場合、管理組合への連絡や、共用部分の原状回復について確認が必要になることがあります
いずれも個別の事情によって判断が変わりますので、状況をお聞かせいただいたうえでご説明します。
査定額は、何で決まるのか
「どのくらい下がるのか」を先に知りたいお気持ちは分かりますが、相場という形ではお出しできません。一つひとつ事情が違いすぎるためです。実際には、次のような点を見て判断します。
- どのような出来事があったか、いつのことか
- 特殊清掃やリフォームが行われているか、行われていないか
- 物件の種類(戸建てかマンションか)と、その立地・需要
- 売却後に、どのような使い方ができる物件か
その場で数字だけを申し上げて、あとから理由をつけて下げる——そうしたやり方は当社では行いません。確認したうえで、金額と、その根拠をあわせてご説明します。
売却の方法は2つ
方法1:仲介で、告知した上で買主を探す
不動産会社に仲介を依頼し、事情をきちんと告知した上で、それを了承してくださる買主を探す方法です。
- 長所:買主が見つかれば、買取より高い価格になることがあります。
- 短所:事情を了承してくださる買主に出会うまで、時間がかかる場合があります。売り出し中は内見(買主候補の見学)への対応が必要になり、売却活動が近隣に知られる機会も増えます。また、同じ条件の一般的な物件と比べて、価格は下がるのが一般的です。
方法2:買取会社に直接売る
事故物件などの訳あり物件を扱う買取会社に、直接売却する方法です。当社もこの方法の会社です。
- 長所:買主を探す期間がないため、早く売却を終えられます。内見の対応がほとんど不要で、売却活動が近隣に知られる機会も少なく済みます。当社では、お伺いした事情を外部にお話しすることはありません(秘密厳守)。
- 短所:正直に申し上げると、価格は仲介で買主が見つかった場合より低くなるのが一般的です。会社が再生や活用の費用とリスクを引き受けるためです。
どちらの方法でも、告知義務を守ることが前提です。買取の場合も、当社は事情を正確にお伺いした上で、その内容をふまえて査定いたします。
よくあるご質問
告知義務は何年で消えますか。
売買については、期間の区切りはありません。「おおむね3年」という目安が示されているのは賃貸についてであり、売買には当てはまりません。何年前の出来事でも、事件・事故・自殺などによる死は告げるのが原則です。
祖父が病気で自宅で亡くなりました。これも事故物件になりますか。
病気や老衰による自然死は、原則として告げなくてよいとされています。ただし、発見までに時間がかかり特殊清掃が行われた場合は、告げる対象になるとされています。ご心配であれば、状況をお聞かせください。
近所や親族に知られたくありません。
買主には告知義務があるため隠せませんが、それ以外に広まらないようにすることは可能です。買取であれば、情報サイトへの掲載がなく、内見の出入りもほとんどありません。当社からご近所やご親族へご連絡することはありません。
特殊清掃やリフォームをしてから相談したほうがよいですか。
先に費用をかける必要はありません。そのままの状態でご相談ください。かけた費用がそのまま金額に反映されるとは限らないため、先にご相談いただいたほうが、結果として手元に残る金額が多くなる場合があります。
いくらくらいになりますか。相場を教えてください。
相場という形ではお出しできません。出来事の内容と時期、清掃やリフォームの有無、物件の種類と立地によって大きく変わるためです。確認せずに申し上げた金額は、あとで必ず変わってしまいます。確認したうえで、根拠とあわせてご説明します。
賃貸に出していた部屋で起きました。オーナーとして何をすべきですか。
次の入居者に対する告知の要否については、賃貸では「おおむね3年」という目安が示されています。売却される場合は、買主に対して売買の基準(期間の区切りなし)で告知することになります。管理会社ともご相談のうえ、状況をお聞かせください。
まだ売ると決めていませんが、相談できますか。
もちろんです。「売れるのかどうかだけ知りたい」という段階で構いません。ご相談・査定は無料で、その後に営業のご連絡を繰り返すことはいたしません。
対応しているエリアはどこですか。
訳あり物件(事故物件を含む)の買取は、東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県の1都3県を対象としています。なお、再建築不可物件の買取は東京都内のみとなります。
まとめ
- 事故物件でも、売却は可能です。ただし告知義務という守るべきルールがあります。
- 売買の告知義務に、期間の区切りはありません。「3年」は賃貸についての目安です。
- 買主には隠せませんが、近隣や親族に知られにくくすることは、売り方によって変えられます。
- 事件・事故・自殺などによる死は、売買では経過年数にかかわらず告げるのが原則です。隠して売ると、後から責任を問われるおそれがあり、正直に告知して売るほうが安全です。
- 売却方法は、仲介で買主を探す方法と、買取会社に直接売る方法の2つ。早く、周囲に知られずに手放したい場合は、買取が現実的な選択肢になります。
当社は、事故物件を含む訳あり物件の買取を行っています。事情を詮索するようなことはいたしません。お伺いした内容は秘密厳守でお取り扱いし、査定は無料です。物件の内容によりお引き受けできない場合もございますが、その際は理由も含めて正直にお伝えします。
→ 訳あり物件の買取について、くわしくはこちら
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→ 不動産の買取業者に売るとき、確認すべき7つのこと
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公開日:2026年7月21日/最終更新:2026年8月12日
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