コラム|再建築不可
旗竿地は売れないのか。
通路の幅と長さで、何が変わるか。
細い通路の先に、四角い敷地が広がっている。旗と竿に見えることから「旗竿地(はたざおち)」と呼ばれる形です。「不動産屋に、売れないと言われた」というご相談を数多くいただきます。結論から申し上げると、旗竿地だから売れないということはありません。ただし、通路の幅と長さによって、結論がまるで変わります。そこをご説明します。
2026年8月15日|縁リアルエステート株式会社
旗竿地とは、どういう形か
道路に接している部分が細い通路になっていて、その奥に敷地の本体が広がっている土地です。通路の部分を「路地状部分」あるいは「竿」、奥の四角い部分を「旗」と呼びます。都市部の住宅地では、決して珍しい形ではありません。
重要なのは、この土地に建物を建てられるかどうかは、奥の広さではなく、通路の部分で決まるということです。奥にどれだけ広い土地があっても、通路が条件を満たさなければ建てられません。ここが、旗竿地を分かりにくくしている一番の理由です。
まず、通路の幅
建築基準法では、建物を建てる土地は「幅4メートル以上の道路に、2メートル以上接していなければならない」と決まっています。これを接道義務といいます。旗竿地の場合、この「2メートル以上接している」を満たすかどうかが、通路の幅で決まります。
通路の幅が2メートル未満のとき
原則として、再建築はできません。今の建物に住み続けることはできますが、取り壊すと建て直せない状態です。1.8メートル、1.5メートルといった、わずかに足りないケースを多く見てきました。
通路の幅が2メートル以上あるとき
接道義務を満たしている可能性があります。ただし、これで安心とは限りません。次の「長さ」の問題があるためです。
なお、図面の数字と現地の実測が違うことがあります。塀の厚みや、電柱・境界杭の位置で、実際に通れる幅が足りていないケースは実際にあります。数字は現地で測ってください。
次に、通路の長さ。ここが見落とされがちです
幅が2メートルあっても、通路が長い場合、自治体の条例でより広い幅が求められることがあります。火事のときに消防隊が入れるか、逃げられるか、という安全上の理由です。
たとえば東京都には、建築安全条例で路地状部分の長さに応じた幅を定めた規定があります。一定の長さを超えると、2メートルでは足りず、より広い幅が必要になる、という考え方です。具体的に何メートルの通路に何メートルの幅が要るかは、建物の用途や規模、そして自治体によって変わります。ここは一般論では判断できません。
そのため、隣の市では建てられた条件が、こちらでは建てられないということが起こります。「同じような土地なのに」と感じられるのは、この条例の違いによるものです。
なぜ、こういう形の土地が生まれるのか
- 親の土地を、子どもの代で分けた。道路に面した手前を一人が、奥をもう一人が相続する。奥側は通路でしか道に出られない形になります。これが最も多い理由です
- 畑や大きな敷地を、少しずつ宅地にしていった。道路を新しく作らずに分けていくと、奥の区画が旗竿になります
- 限られた土地に、できるだけ多くの家を建てた。戦後の住宅需要のなかで、都市部で広く行われました
つまり、持ち主の落ち度で生まれた形ではありません。街の成り立ちそのものに理由があります。恥じるような話ではまったくない、ということは申し上げておきたいと思います。
正直に言うと、旗竿地には良い面もあります
- 道路からの視線が届きにくく、静かです。通りに面した家より落ち着いて暮らせる、という方は実際にいらっしゃいます
- 同じ広さの整形地より、価格が抑えられます。買う側から見れば、予算内で広い土地を持てるということでもあります
- 通路部分を駐車場や庭として使える場合があります。
売る立場では不利に働きますが、買う人にとっては魅力になり得る形です。「まったく価値がない」と思い込む必要はありません。
実際に、どうやって売るか
1. 隣の方に買っていただく、または買い足す
隣地と一体になれば、通路の幅が確保できて建て替えができるようになる場合があります。隣の方にとっても土地の価値が上がる話になるため、条件がまとまることがあります。ただしご近所付き合いの中での交渉になるため、進めづらいと感じる方も多い方法です。
2. 通路の幅を広げられないか調べる
通路に接している方から一部を譲っていただく、あるいは共有の通路であれば持分を整理する。わずか数十センチで結論が変わることがあるため、調べる価値はあります。
3. 仲介で買主を探す
再建築ができる旗竿地であれば、通常の売却が可能です。再建築ができない場合は、住宅ローンが使いにくいため買主が現金で購入できる方に限られ、時間がかかる傾向があります。
4. 買取業者に直接売る
買主を探す期間がなく、現状のまま引き渡せます。一方で、仲介で買主が見つかった場合に比べると金額は低くなるのが一般的です。時間と手間を取るか、金額を取るかという選択になります。
ご相談の前に、分かると話が早いこと
- 通路の幅(実測)。メジャーで測っていただくだけで構いません。一番狭いところの数字が重要です
- 通路の長さ。道路から敷地の本体までの距離です
- 通路は誰の土地か。ご自分の土地か、他の方との共有か、他人の土地を通らせてもらっているのか。ここで扱いが大きく変わります
- 前面道路の種別。市区町村の建築を担当する窓口で確認できます
調べずにご相談いただいても構いません。当社で確認します。ただ、この4つが分かっていると、どの会社と話すときも話が早くなります。
よくあるご質問
通路の幅が2メートルちょうどです。建て替えられますか。
幅の条件は満たしている可能性がありますが、通路が長い場合は条例でより広い幅が求められることがあります。長さとあわせて確認が必要です。正確な寸法をお聞かせください。
通路を隣の家と共有しています。売れますか。
共有の通路は珍しくありません。持分がどうなっているか、通行と掘削(水道管を引くための工事)の承諾が得られるかで扱いが変わります。承諾が取れないと生活に必要な工事ができないため、ここは重要な確認点です。
車が入りません。それでも買い取ってもらえますか。
車が入らない旗竿地のご相談は多くいただきます。解体や工事の条件が変わるため査定には影響しますが、それを理由に一律でお断りすることはありません。
奥の土地は広いのに、なぜ評価が低いのですか。
建てられるかどうかが通路の部分で決まるためです。奥の広さは、建てられる前提があって初めて評価に反映されます。逆にいえば、通路の条件が改善すれば評価は大きく変わります。
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公開日:2026年8月15日
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