コラム|再建築不可
未接道の土地を売る方法。
「道路に接していない」とは、どういう状態か。
「未接道(みせつどう)なので、うちでは扱えません」。そう言われて戸惑われた方も多いと思います。毎日そこを通って出入りしているのに、道路に接していないとはどういうことなのか。矛盾しているように聞こえますが、これには理由があります。順を追ってご説明します。
2026年8月17日|縁リアルエステート株式会社
「未接道」とは、何を指す言葉か
建築基準法では、建物を建てる土地は「幅4メートル以上の道路に、2メートル以上接していなければならない」と決まっています。これを接道義務といいます。火事のときに消防車が入れるか、逃げられるか、という安全のための決まりです。
この条件を満たしていない状態が「未接道」です。大事なのは、ここでいう「道路」が、私たちが日常で道路と呼んでいるものと同じではないということです。ここがすべての誤解のもとになっています。
見た目は道路なのに、道路ではない
アスファルトで舗装されていて、車も通れて、誰が見ても道路。それでも建築基準法上は道路として扱われないことがあります。おおまかに言うと、次のようなものが「法律上の道路」です。
建築基準法上の道路とされるもの(主なもの)
国や自治体が造った公道/開発によって造られ、一定の手続きを経た道/建築基準法ができた時点ですでに建物が建ち並んでいた幅4m未満の道(いわゆる2項道路。中心から2m下がることを条件に道路として扱われます)/私道であっても、位置の指定を受けたもの。
道路として扱われないことがあるもの
位置の指定を受けていない私道や通路/もともとは水路や畦道だった通路/単に人が通れるだけの空き地。見た目では区別がつきません。
ですので、ご自分の土地が未接道かどうかは、見て判断できません。市区町村の建築を担当する窓口で、前面の道が何にあたるかを確認するのが確実です。無料で調べられます。
未接道になる、3つのかたち
1. まったく道路に接していない(袋地)
周囲をぐるりと他人の土地に囲まれていて、道路に出るには誰かの土地を通らせてもらうしかない土地です。法律では「袋地(ふくろち)」と呼ばれます。
2. 接してはいるが、幅が2メートルに足りない
接している長さが1.8m、1.5mといった具合にわずかに足りていない状態です。相続で土地を分けた際に生じることがあります。
3. 接している道が、建築基準法上の道路ではない
何メートル接していても、その道が法律上の道路でなければ接道義務は満たしません。これが一番気づかれにくいパターンです。
通れているのは、なぜか。囲繞地通行権という考え方
「接していないのに、なぜ今まで問題なく通れていたのか」。これもよくいただく質問です。
民法には、他人の土地に囲まれて公道に出られない土地の持ち主は、周りの土地を通ることができるという考え方があります。囲繞地通行権(いにょうちつうこうけん)と呼ばれるものです。長年の慣習で通っているだけ、というケースもあります。
ただし、ここで注意していただきたいことがあります。通れることと、建てられることは別の話です。通行が認められていても、建築基準法の接道義務を満たすわけではありません。また、通行が認められる範囲や、水道管を通すための掘削まで当然に認められるかは、状況によって判断が分かれます。争いになれば弁護士の領域であり、当社が代理して交渉することはできません。
未接道の土地に、実際に起きること
- 建て替えができません。今の建物に住み続けることはできますが、取り壊すと建て直せません
- 住宅ローンが使いにくくなります。担保としての評価が下がるため、買主は現金で購入できる方に限られやすくなります
- 水道・ガスの工事で、他人の土地を掘る承諾が要ることがあります。承諾が得られないと、設備の更新ができません。これは住み続けるうえでも大きな問題です
- 固定資産税はかかり続けます。建て替えができなくても、毎年課税されます
売る方法は、4つあります
1. 囲んでいる土地の持ち主に買っていただく
袋地の場合、その土地を最も有効に使えるのは周りの土地の持ち主です。一体になれば形が整い、価値が上がります。ご近所付き合いの中での交渉になるため進めづらい面はありますが、条件がまとまりやすい方法でもあります。
2. 通路部分の土地を買い足す、または借りる
道路までの通路を確保できれば、接道義務を満たせる場合があります。わずか数十センチ、数平方メートルで結論が変わることがあります。
3. 建築基準法第43条の許可・認定を調べる
接道義務を満たさない土地でも、一定の条件のもとで建築が認められる制度があります。すべての土地で使えるわけではなく、自治体ごとの基準もありますが、これが通れば評価が大きく変わります。役所で相談できます。
4. 買取業者に直接売る
買主を探す期間がなく、現状のまま引き渡せます。一方で、仲介で買主が見つかった場合に比べると金額は低くなるのが一般的です。ここは隠さずお伝えします。
ご相談の前に、分かると話が早いこと
- 前面の道が、建築基準法上の何にあたるか。役所の建築を担当する窓口で確認できます
- 接している幅の実測値。塀や電柱の位置で、図面より狭いことがあります
- 通路や私道の持ち主は誰か。登記で確認できます
- 通行・掘削の承諾が、書面であるか。口約束だけの場合、代替わりで揉めることがあります
調べずにご相談いただいても構いません。当社で確認します。ただ、この4つが分かっていると、どの会社と話すときも話が早くなります。
よくあるご質問
毎日通れているのに、なぜ「接していない」のですか。
通行できることと、建築基準法上の接道義務を満たすことは別の基準だからです。慣習や囲繞地通行権によって通れていても、それは建築の可否とは関係がありません。
前の道は舗装されていて、車も通ります。それでも未接道ですか。
見た目では判断できません。舗装されていても、建築基準法上の道路として扱われていない通路があります。役所の窓口で種別を確認されることをおすすめします。
水道管を通したいのですが、隣の方の承諾が要ると言われました。
他人の土地を掘る場合、その所有者の承諾が必要になるのが一般的です。承諾が得られるかどうかは売却の際にも重要な確認点になります。争いになっている場合は弁護士にご相談ください。
43条の許可が取れれば、普通に売れますか。
許可や認定が得られれば建築の道が開けるため、評価は大きく変わります。ただし要件は自治体によって異なり、必ず認められるものではありません。まず役所でご確認ください。
→ 再建築不可物件の買取について、くわしくはこちら
→ 旗竿地は売れないのか。通路の幅と長さで何が変わるか
→ 「建て替えができない」と言われた土地は売れるのか
→ 再建築不可の買取を断られた・拒否された方へ
公開日:2026年8月17日
「未接道」と言われて止まっている方へ
まず、状況をお聞かせいただけませんか。